「自宅の空いた庭やテラスを使って、さつまいもを育ててみたい。」と思ったことはありませんか?
さつまいもは中南米が原産の植物で、日本では飢饉の対策として栽培されるほど、育てやすく繁殖能力が高い野菜です。
この記事では、数メートル範囲の畑を想定していますが、さつまいもはプランターでの栽培も可能な野菜なので、ぜひプランターでの栽培をされる方も参考にしてください。
目次
1 さつまいもを育てるための環境づくり
1-1 土作り
植物を栽培するには、まず畑の土を整えること(土作り)が大切です。さつまいもの場合は植え付けを行う前に土を耕して、通気と撥水性がよくなるように30〜40cmほどの高畝(たかうね)を作っておきましょう。
さつまいもは強い植物ですが、寒さと湿気には弱い部分がありますので、梅雨を越せるように撥水性の高い高畝で作るのが適しているのです。
配合肥料を使っても良いですが、つるボケを起こす可能性もあるので、少量にするかさつまいも用の専用肥料(窒素分が少ないもの)を使うことをお勧めします。
つるボケとは、必要以上の栄養によって、つるや根ばかりが伸びてしまい芋の実付きが悪くなる現象です。
1-2 植え付け時期
さつまいもがよく育つ気温は 25 ~ 30℃ で、植え付けに適している時期は 地温が20℃近くになる 5月〜6月 が良いと言われています。
さつまいもは湿気と寒さに弱いので、早めに植えるよりも梅雨前に植える方がおすすめです。
1-3 苗の選定
さつまいもの苗を購入される場合は、茎が太く、葉の色が深く厚みがあるものを選びましょう。
品種によって育ち方が違うので、あまり慎重になりすぎなくても大丈夫です。
小さなプランターなどで栽培される場合は、なるだけ大きさの均一なものを選ぶようにするほうが育てやすいです。
2 さつまいもの苗の植え付けから生着まで
2-1 植え方の種類
さつまいもの植え付け方には、大きく3つの種類があります。それぞれの植え方に育ち方の特性はありますが、好みで選んでいただいて大丈夫です。
2-1-1 水平植え(船底植え)
根と反対の先端側から2〜3節だけ地上に出して、横長に穴を堀り、苗を横に置くように水平に植える方法です。
船底植えと言われることもあります。
水平に植えた苗から均一に芋がなるので、最もたくさんの芋が取れる植え方だと言われています。
2-1-2 斜め植え
水平植えに似た植え方で、根の方をより深くする植え方です。
芋の取れ高は水平植えに劣りますが、活着(畑へ根付けて生着すること)しやすい植え方だと言われています。
2-1-3 垂直植え
苗を縦に垂直に植える方法です。他の植え方よりも場所を取らないので、鉢など横の広さの無い場所で栽培される時によく使われる植え方です。
水平植えよりも深く根を付け、縦に生着するので、大きな芋が実りやすい植え方です。
2-2 共通する植え方
さつまいもの苗を植えるときは、苗と苗との距離を最低30cmずつ離して、深さ10cm ほどの穴を作って植えていきます。
掘った穴にさつまいもの苗を植えて、生着するように上からポンポンと叩いて土を固めてください。
また、植え付けして生着するまでのさつまいもは、たくさんの水分を必要とするので、しっかりと水を上げましょう。
さつまいもは湿気に強くないので、1週間〜10日経って生着した後は、雨などの水で十分です。
3 サツマイモの栽培(生着後)
3-1 水やり
さつまいもは中南米の熱帯地域が原産の野菜だったこともあり、少ない水分でもしっかりと育ちします。
植え付けから生着までは、水やりが必要ですが、生着後は雨だけで十分に育つので基本的に必要ありません。
プランターなどでの栽培で、乾燥が早く葉が黄色みを帯びるようであれば、しっかりとお水をあげてください。
3-2 つる返し
さつまいもの栽培中に、地表で伸びたつるの節部分から根が出て、地に根を張り養分が分散してしまうことがあります。
つる返しとは、定期的に伸びたつるから畑に根を張ってしまわないように、つるを剥がす作業のことです。
最近の品種のさつまいもでは、新たに出来た根から芋になることは少ないのですが、栄養が分散してしまい収穫量の減少や芋が大きくなれない原因になるので、定期的につる返しをしたり、不要なつるは切ってしまっても良いです。
さつまいものつるは、アク抜きして料理に使うことも出来ます。
3-3 雑草の処理
雑草の繁殖は、つる返しと同様に、収穫量や芋が大きくなれない原因になることがあります。
さつまいものつるが成長してしまうと、畑の大部分が覆われてしまい雑草の処理はおろか、見つけることすら大変になってしまいますので、さつまいもの生着後〜4週間ほどの早いタイミングで、こまめに雑草を処理することをおすすめします。
3-4 さつまいもの病気
さつまいもは、「斑紋モザイク病」「貯蔵性病害」「塊根の内部褐変症」「つる割病」「黒斑病」「立枯病」「紫紋羽病」などの多くの病気にかかる危険性があります。
見慣れない斑紋があったり茎が異常に柔らかかったりなど、何か異常があると感じたら、土壌が汚染されてしまうと、他の苗や植物にも影響を及ぼす可能性がありますので、早めに具体的な症状をもとに詳しい人に聞くか調べて対処しましょう。
3-5 病害虫対策
さつまいもの害虫は、生着して1ヶ月程度のまだ苗が成長しきっていないうちは、致命的なダメージを追ってしまうことがありますので、早急に駆除しましょう。
4 収穫と貯蔵
4-1 さつまいもの収穫の目安
さつまいもの収穫時期は、苗の植え付けからだいたい130日前後、葉が徐々に薄くなり、変色し始めてくる時期になります。
収穫をする一ヶ月前くらいに一度試し掘りをして、成長度合いによって収穫時期を検討することが望ましいです。
4-3 収穫
しっかりとさつまいもが育ち、収穫をするタイミングになったら、まず掘り起こす前に土から出ている蔦をハサミなどで切って、掘り起こし易くしてから、さつまいもの実をスコップなどで傷つけないように気をつけて収穫しましょう。
4-4 貯蔵方法
収穫後の、まるまると実ったさつまいもはすぐに食べても美味しいのですが、実は収穫してから3週間~6週間ほど貯蔵した方が、より甘く美味しくなります。
さつまいもは寒さに弱いので、あまり寒くなりすぎないように屋内などで新聞紙をかぶせて保存すると良いでしょう。
まとめ
さつまいもの育て方は参考になりましたでしょうか。
美味しいさつまいもを育てるときの注意点は、生着からつるが太く長くなる前に、畑をキレイにする(雑草や虫の駆除)こと、そして貯蔵して甘さを引き出して上げることです。
最初にこまめに面倒を見て、最後にもう少し辛抱することで、美味しいさつまいもを育てるのがコツです。
さつまいもは、あまり慎重に管理しなくても美味しい実を付けてくれる野菜なので、ぜひお家でも育ててみてくださいね。
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