
菜園でさつまいもを育てたいけど、初めてで肥料選びが不安という方は必見です。
肥料なんていらないという声も耳にしますが、一般的には植え付けの際の元肥が基本いらないという意味で捉えてください。
さつまいもを大きく味よく育てるには「窒素:リン酸:カリウム=1:1.5:2」の割合に近い肥料がおすすめです。
この記事では、さつまいもの肥料は必要なのか?いらないのか?また、元肥と追肥の注意点などについて解説しています。
目次
1.さつまいもの栽培に肥料は必要?いらない?
さつまいもを菜園で栽培するにあたり、肥料はいらないという情報は嘘です。
肥料によって美味しさや大きさが変わってくるため。さつまいもを大きく太らせるには、肥料は必要です。
さらに詳しくみていきましょう。
1-1.過去に何も栽培していない畑の場合、肥料は必要
菜園でさつまいもを育てるには肥料は必要ですが、過去に何も栽培していない場合に限ります。
理由は、茎や葉ばかりが育つ「つるぼけ」状態となってしまうためです。
例えば、1年前に家庭菜園で野菜を育てるために肥料をまいていた場合、残った肥料だけでさつまいもの茎や葉だけが大きく育ちすぎるため注意しなければなりません。
過去に野菜を育てたことのない菜園で、初めてさつまいもを育てる場合は肥料が必要です。
1-2.肥料がいらないといわれる理由
さつまいもを育てる際に肥料がいらないという情報もありますが、それには理由があります。
特性上、土壌の栄養素を吸収しやすく、茎には空気中の窒素分子(N2)をアンモニア(NH3)に変換する窒素固定細菌が共生しているためです。
例えば、アゾトバクターなどの窒素固定細菌がさつまいもの成長を促すことで大きくなります。
さつまいもは、基本的にやせた土壌でも窒素固定細菌の働きで、空気中から成長に欠かせない栄養素をつくり出すことができます。
参考:さつまいもの茎に内生する窒素固定細菌(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)
1-3.菜園栽培での肥料の与え方
さつまいもの菜園栽培では、肥料に合わせた土壌pHにしなければなりません。
pH(ペーハー)とは、水素イオン指数で数字が小さいほど酸性、大きいほどアルカリ性を意味します。
さつまいもは酸性で育ちやすく、それに合わせた肥料の割合が「窒素:リン酸:カリウム=1:1.5:2」です。
通常の市販されている肥料は、窒素やリン酸、カリウムがバランスよく配合されているためさつまいも栽培では使えません。
さつまいもの菜園栽培では、「窒素:リン酸:カリウム=1:1.5:2」の割合で配合された肥料を与えるようにしましょう。
2.さつまいもの栽培に必要な肥料の成分とは?
さつまいもの菜園栽培で必要な肥料の成分は、下記のとおりです。
- 窒素
- リン酸
- カリウム
植え付けから発芽までの初期、地上部における成長段階の中期、さつまいもの肥大時期でもある後期で肥料成分ごとに役割があります。
前期、中期、後期における肥料成分の役割と併せてそれぞれの成分がどのように影響するのか、詳しくみていきましょう。
2-1.窒素|葉や茎の成長促進
窒素は、根付け90日あたりの初期から中期にかけての地上部における成長までは吸収を促進させ、後期には吸収を抑制してさつまいもを大きく太らせます。
窒素が不足すると、さつまいもの葉や茎の成長ができず、光合成不足によって後期でさつまいもが大きく育ちません。
色も薄く、小ぶりのさつまいもになってしまうため注意しましょう。
2-2.リン酸|開花や結実の促進
さつまいもの栽培でリン酸を使うと、初期から中期にかけて根付けしやすく、発芽した後の開花や結実がしやすくなります。
リン酸が不足すると、葉が赤紫色になったりさつまいもの成長が遅れて収穫日が想定よりも伸びてしまったりするため注意しなければなりません。
2-3.カリウム|根の肥大促進
カリウムは、後期でさつまいもを大きく太らせます。
もし、カリウムが不足してしまうと葉からも色が抜けてしまい、最終的には枯れてしまいます。
さつまいも自体も大きくなることはないため、注意してください。
【関連記事】
3.さつまいもの肥料(元肥・追肥)を与える際の注意点は?
さつまいもを菜園で育てる際、肥料のあげすぎはよくありません。
元肥や追肥も同様の考え方です。
タイミング的にも、植え付けしてから概ね1ヶ月前後で効果がみられる程度が目安です。
例えば、緩効性肥料を元肥として漉き込むなどして、成分が1ヶ月前後で効き始めるようにします。
植え付け直後の前期、もしくは後期に肥料が効いてしまうと「つるぼけ」の原因となってしまうため注意しましょう。
ここでは、下記の3つのポイントで肥料(元肥・追肥)を与える際の注意点をまとめました。
- タイミング
- 元肥の注意点
- 追肥する際の注意点
詳しくみていきましょう。
3-1.肥料を与えるタイミング
さつまいもの苗を植える前に与える肥料を元肥といい、畝(うね)を作る際に肥料と土を混ぜ込みます。
魚粉や鶏糞、骨粉、草木灰などの有機肥料を菜園にまくタイミングは、さつまいもの苗床を畑に移して2か月前までです。
硫酸アンモニウム、過リン酸石灰などの化学肥料は苗床を畑に移して2週間前までを目安に散布します。
肥料をまくタイミングがずれると、その後成長しにくくなる場合もあるので注意しましょう。
3-2.元肥の注意点
さつまいも肥料に適合する割合の「窒素:リン酸:カリウム=1:1.5:2」に当てはめて考えると、元肥は10㎡あたり窒素が30~60g、リン酸40~80g、カリウム80~120gを目安にします。
成分の量を間違えると、さつまいもが大きく育ちません。
窒素が多すぎると「つるぼけ」状態となり、葉や茎だけが大きく成長してさつまいも自体は細くやせ細ったままです。
3-3.追肥する際の注意点
さつまいもが想定通りに育っていれば、追肥は必要ありません。
ただ、植え付けが終わって6~8月で葉先や茎の一部が黄色っぽくなってきた場合は、栄養が不足しているため追肥します。
追肥の場所は、畝(うね)の肩部分です。
4.さつまいもの肥料選びと併せて土壌改良も必要!
さつまいもは肥料選びも大切ですが、それに併せた土壌に改良しなければなりません。
菜園の栽培に適した土壌のpH(ペーハー)値は、5.5~6.0の酸性です。
詳しくみていきましょう。
4-1.菜園栽培に適した土壌のpH値は5.5〜6.0
pH(水素イオン指数)は、0から14の範囲で酸性と中性、アルカリ性で示されます。
pH7が中性で7より小さければ酸性、7より大きい場合はアルカリ性です。
さつまいもの菜園では、pH値5.5~6.0の中性に近い酸性に土壌を改良します。
4-2.ph値5.5〜6.0に合わせた肥料の選び方
pH値5.5~6.0に土壌を改良したら、次は肥料選びです。
選び方のポイントは窒素やリン酸、カリウムの割合バランス。「窒素:リン酸:カリウム=1:1.5:2」です。
ちなみに、元肥は10㎡あたり窒素が30~60g、リン酸40~80g、カリウム80~120gになるような肥料を選びます。
気候や周囲の環境が要因となり、土壌のpH値が上手く調整できず酸性が強い状態など場合によっては、10㎡あたり1kgの肥料で換算して硫安150g、硫酸カリ150g、過燐酸石灰300gで調整することもあります。
4-3.肥料に合わせた土壌改良のやり方
肥料に合わせて土壌を改良するやり方は、下記の手順です。
- 土壌のpH値を測定する
- 石灰をまく
- 肥料をまく
- 畝立てする
土壌のpH値が6.0を超える場合は、石灰をまく必要はありません。
pH値5.5~6.0の範囲で収まっていない場合は、石灰をまいて畑を耕すなどして調整します。
pH値が整ったら「窒素:リン酸:カリウム=1:1.5:2」の割合で調合、もしくはそれに近い割合の市販されている肥料をまきましょう。
畑を耕して畝立てしてから、さつまいもを植え付けます。
5.さつまいもの育ちがよくなるおすすめの肥料3選
さつまいも専用の肥料は専門店に行かないと売っていないのかな?と心配されるかもしれませんが、実はホームセンターに売っているもので十分です。
ここでは、さつまいもの育ちがよくなるおすすめの肥料を紹介していきます。
- サツマイモ専用肥料
- 追肥がいらない一発肥料!いっぱつまかせときゃあ
- いも専用肥料
詳しくみていきましょう。
5-1.サツマイモ専用肥料
アミノール科学研究所のサツマイモ専用肥料(1.8kg)は、カリウム(草木灰)を主成分として有機性の緩効性窒素や濃縮天然リン酸など配合されています。
割合は「窒素:リン酸:カリウム=5:8:12」です。
さつまいもを植え付けする2週間前を目安に、元肥として1㎡あたり約50gを土壌と混ぜ込みます。
5-2.追肥がいらない一発肥料!いっぱつまかせときゃあ
ブランド「ベジライス」の追肥がいらない一発肥料!いっぱつまかせときゃあ(500g約50本用)は、基本的に追肥しなくてもよいさつまいも専用の化学肥料です。
菜園で8畳分(約3m×5m)の広さごとに500gをまき、土壌と混ぜて畝(うね)を立ててください。
⇒追肥がいらない一発肥料!いっぱつまかせときゃあ(500g約50本用)を購入する
5-3.いも専用肥料
株式会社大和のいも専用肥料(600g)は、栄養素の割合「窒素:リン酸:カリウム=3:10:10」のさつまいも栽培におすすめの肥料です。
さつまいもだけでなく、じゃがいもや里芋、カボチャなどの野菜にも使える肥料です。
まとめ
今回は、菜園でさつまいもを育てるにあたってどのように肥料を選べばよいのか、また元肥や追肥などの取り扱い時の注意点について解説してきました。
さつまいもが大きく太く育つには、pH値5.5~6.0の土壌に整えたうえで「窒素:リン酸:カリウム=1:1.5:2」の割合で肥料を与えます。
葉や茎が黄色っぽくなってきたら、栄養不足のサインですので追肥しましょう。
さつまいもの具体的な育て方については、こちらの記事もご覧ください。
さつまいも、1から自分で育てるのは大変そうだけど、芋掘りは体験してみたいなと思ったことはありませんか?そんな方には 世界一のおいも掘りの聖地と言われている【らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジ】がおすすめです。
詳しくはこちら。
↓↓↓↓↓↓
ぜひフォローをお願いします。