さつまいもってどこから来たの?さつまいもの歴史と食文化

さつまいもってどこから来たの?さつまいもの歴史と食文化

子どもから大人まで、日本で古くから愛されてきた「さつまいも」。

おやつとしても、料理の一品としても普段何気なく食べているさつまいもですが、

どこからやってきたのか?

名前の由来は何か?

皆さんご存知でしょうか。

この記事ではさつまいものルーツを探り、さつまいもが日本に伝わるまでの歴史と、古くから愛されるさつまいもを通じた食文化についてご紹介します。

1 さつまいもの原産地や語源とは?

1-1 さつまいもはどこで生まれた?

秋の味覚の代表ともされる「さつまいも」。原産地はアメリカのメキシコ南部からペルーにかけての地域で、紀元前800~1,000年前から中央アンデス地方で栽培されていたと言われてます。

その後15世紀にアメリカ大陸に渡った探検家コロンブスによってヨーロッパに持ち帰られましたが、ヨーロッパの涼しすぎる気候はさつまいもと合わず中々栽培には至りませんでした。その後スペイン人やポルトガル人によって東南アジアに伝えられ、暖かい地域がさつまいもに育つのにぴったりだったことから広く作られるようになったのです。

1-2 日本へ伝わった背景

東南アジアに伝わったさつまいもはその後中国へと広がり、1,600年頃に中国福建省から日本にやってきました。琉球王国(沖縄県)から始まり、そこから薩摩の船乗り「前田利右衛門(まえだりえもん)」によって薩摩地方(鹿児島県)全域に伝えられ、本州に伝播していったと言われています。

その後1,833年に江戸時代を襲った天保の飢饉の際に、江戸幕府8代将軍の徳川吉宗は救荒作物として西日本で普及していたさつまいもを関東で栽培することを命じました。その命に従ってさつまいもを日本全国に普及していったのが、蘭学者「青木昆陽(あおきこんよう)」です。青木昆陽はさつまいもを全国に広めた人物として有名で、「甘藷(かんしょ=さつまいも)先生」とも呼ばれていました。

1-3 さつまいもの語源

さつまいもは薩摩地方に伝えられた当時、「甘藷(かんしょ)」「唐芋(からいも)」と呼ばれていました。甘藷は「甘い芋」を意味し、唐芋は「唐(中国)から伝わった芋」としてその名が付けられています。

その後青木昆陽が薩摩地方から唐芋を取り寄せたことで、「薩摩(さつま)から伝わった芋」として「さつまいも」という名称が誕生しました。

1-4 日本における主産地

日本全国で広く栽培されているさつまいもですが、生産量は鹿児島県が日本一となります。

さつまいもを使用した芋焼酎などの「飲むさつまいも」のイメージが強い鹿児島県ですが、実は「食べるさつまいも」の出荷量日本一は茨城県なんです。また、茨城県南東部に位置する行方(なめがた)市のさつまいも普及拡大に対する取り組みが平成29年度農業の日本一を決める「天皇杯」において受賞されるなどしており、茨城県は今注目のさつまいもの産地となっております。

※農林水産省 平成30年度さつまいもの作付面積及び収穫量 統計データによる。

<さつまいもの有名産地ランキングはこちら>

一番美味しいさつまいもは?有名産地ランキングTOP10と特徴

1-5 さつまいものブランド産地

さつまいものブランド品種と言えば、徳島県産の鳴門金時や鹿児島県種子島産の安納芋(あんのういも)が有名です。

その他にも、しっとり系、ホクホク系、ねっとり系など、特徴が異なるブランド品種のおいもが日本全国で栽培されています。その中でも今注目なのが、先ほど天皇杯を受賞したとお伝えした茨城県行方市の「いばらきゴールド」です。さつまいも本来のうまみ、しっとり感、ホクホク感、甘みすべての総合バランスがパーフェクトの今話題のブランド品種と言われています。

いばらきゴールドを始めとして、全国各地の7つのおいも畑からお好きな品種のおいもを食べることはもちろん、自分で育てて収穫するまで体験をできる「おいも株オーナー制度」という取り組みを、おいもさんのお店らぽっぽで有名な白ハトグループが運営していますので是非ご覧になってみて下さい。

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2 今でも愛されるさつまいもの食文化

2-1 石焼きいも

石で焼く「石焼きいも」は、昭和26年に元々ラーメン屋をしていた東京都墨田区の三野輪万蔵という方が考案し広まったとされています。窯に熱した石を入れてさつまいもを蒸し焼きにし、それをリヤカーで移動販売するという販売形式でした。

その後リヤカーから聞こえる「い~しや~きいも~♪」の歌が冬の風物詩となるほどに石焼きいもの移動販売は広まりましたが、現在では屋台での販売は減少し、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどにおいて広く販売されるようになっています。

2-2 ねりくり

宮崎県に伝わるさつまいもを使った郷土料理として、「ねりくり」というおやつがあります。

お餅とさつまいもを混ぜてきなこと砂糖をまぶしたお菓子で、素朴な甘さが美味しい、ふるさとの味として親しまれてきました。お正月に食べられることが多く腹持ちも良いおやつなので、お正月に余ったお餅で一品作ってみてはいかがでしょうか?

2-3 いきなり団子

鹿児島県のさつまいもを使った郷土料理と言えば、「いきなり団子」が有名です。

輪切りにしたさつまいもと餡を生地で包み、蒸して調理することでできあがるいきなり団子は、ほくほくのさつまいもと餡の甘味が相性抜群の伝統ある郷土菓子です。この「いきなり」という名前の由来は、

①短時間で「いきなり」作れる
②来客が「いきなり」来ても出せる
③いきなりな人(=熊本の方言で「大雑把な人」)が作る
④あらかじめ芋を蒸さずに生で調理することから「生き成り」

など、諸説いわれがあります。

由来の通り手近にある材料で簡単に作れるのも魅力の一つのいきなり団子。是非皆さんも試してみてはいかがでしょうか?

2-4 かんころ餅

最後は、長崎県五島列島発祥の郷土料理「かんころ餅」をご紹介します。

半茹でにして天日干しをしたさつまいも(=かんころ)をお餅に混ぜ込んだ素朴な味の一品で、保存食や長崎県のお土産として長く愛されてきました。通常棒状で販売されていることが多く、1~1.5cmほどの厚さに切って軽く焼いて食べるのが一般的です。

長崎県に行った際には、是非お土産にチェックしてみて下さい。

まとめ

以上、さつまいもの歴史についてこの記事では紹介をさせていただきました。

様々な歴史の流れがあり今や日本でも広く愛される食材となったさつまいも。今度さつまいもを調理する際や食卓に出てきた際には、その奥にある歴史を考えながら味わってみてはいかがでしょうか?

また、本日ご紹介したさつまいもを使った歴史ある郷土料理は、どれも素朴なさつまいも本来の味を味わうものばかりです。

ちょっとしたおやつに、ホクホクあまーいさつまいもの一品として、是非楽しんでみてくださいね。