おいしくて栄養豊富なさつまいも。料理だけではなくスイーツとしてもおいしいですよね。
さまざまな産地のものがありますが「生産量はどこが多いのだろう?」と気になったことがある人もいるのではないでしょうか。
今回はさつまいもの栽培に適した環境や、生産量(収穫量)の多い都道府県TOP4をご紹介していきます。収穫量の多い品種の特徴もご紹介しているので、味の特徴なども合わせてチェックしてみてくださいね。
目次
1.さつまいもの栽培に向いている環境
1-1.さつまいも栽培の適温
さつまいもの栽培の適温は20~35℃です。収穫までの積算温度は3,000℃以上といわれています。
さつまいもの原産は中南米なので、栽培には温暖な気候が適しています。
1-2.さつまいも栽培に向いている土壌
さつまいもは栽培には、排水と通気性のいい土壌が向いています。
乾燥に強く酸性土でも育つさつまいも。しかし、湿度に弱く多肥な状態が続くと、葉は立派に育っていても芋の部分の肥大が進まず、いわゆる「ツルぼけ」を起こしてしまいます。
さつまいも自体は栄養豊富ですが、栽培のときには栄養分の少ない土壌の方が適しているのです。
2.日本国内でのさつまいもの生産量の推移
農林水産省が報告している2019年(令和2年)度のさつまいもの生産量は、全国で68万7,600t。前年と比べると6万1,100t減少しています。
ここ数年減少傾向にあるのは、高齢化によって栽培を続けるのが難しくなったり、ほかの作物に転換したりすることが影響しています。また、2019年度は宮崎県や鹿児島県の日照不足など、天候の影響を受けたことも理由の一つです。
また、用途別にみると、生食は安定していますが、アルコール用やでんぷん用の消費量は需要が減少しています。
3.さつまいも生産量(収穫量)の都道府県TOP4
さつまいもは温暖な気候を好むので、温かい地域の生産量が多くなっています。
さつまいもの生産量(収穫量)の都道府県TOP4を見ていきましょう。主要品種も合わせてご紹介します。
データはすべて2019年度産のものとなっています。
1位:鹿児島県
収穫量(2019年産):約21.4万t
作付面積(2019年産):約11,200ha
主要品種(2019年産):コガネセンガン(5,190ha)・シロユタカ(3,720ha)・高系14号(1,114ha)
出荷時期:通年(旬は5~11月)
さつまいもの生産量第1位は鹿児島県です。
日本有数の芋焼酎の産地であり、芋焼酎の生産に主に使われるコガネセンガンというさつまいもが栽培されています。
適度な糖度とデンプン含有量、焼酎にしたときの芳醇な香りが特徴です。
いもの形は紡錘形か、しもぶくれの紡錘形で一つ一つが大きな塊になります。
名前にもなっていますが、黄金色の皮が特徴で、果肉は白っぽく粉質が強いです。
2位:茨城県
収穫量(2019年産):約18.2万t
作付面積(2019年産):約6,860ha
主要品種(2019年産):ベニアズマ(3,200ha)・べにはるか(1,900ha)・タマユタカ(130ha)
出荷時期:通年(旬は9~翌7月)
茨城県といえば、干し芋の産地として有名ですね。
近年、干し芋を作る上で多く使われているさつまいもが紅はるかです。
紅はるかは2010年に新品種として登録され、高い糖度の中でも、麦芽糖が占める割合が多く、強い甘さと後味にすっきりしていて上品な甘さを感じます。
果肉は黄白色で、加熱するとしっとりした食感になります。
3位:千葉県
収穫量(2019年産):約9万t
作付面積(2019年産):約4,040ha
主要品種(2019年産):ベニアズマ(2,580ha)・べにはるか(860ha)・高系14号(226ha)
出荷時期:通年(旬は8~翌4月)
千葉県もさつまいもの産地です。
品種としては、紅あずまが多く作られています。
紅あずまは関東で人気のある品種で、皮の色は紫がかった赤色、果肉は黄色く、粉質です。
加熱すると、繊維質は少なく、ホクホクと少しねっとりの食感を味わえます。
4位:宮崎県
収穫量(2019年産):約6.9万t
作付面積(2019年産):2019年 約3,360ha
主要品種(2019年産):コガネセンガン(2,300ha)・高系14号(835ha)・ムラサキマサリ(265ha)
出荷時期:通年
宮崎県は宮崎紅という高系14号を選別育成したオリジナルブランドで宮崎県の最南端の串間市を中心に栽培されています。
宮崎紅は、比較的整った流線型で、皮は鮮やかな赤紫色でクリーム色の果肉です。
加熱すると、ホクホクの食感と糖度も高くおいしく食べることができます。
4.日本で栽培されている品種ごとの作付面積ランキング
さつまいもにはさまざまな種類があります。料理やお菓子などいろいろなものに活用できるさつまいもですが、種類によっては生食用に向かないものも。
日本で栽培されているさつまいもの、品種ごとの作付面積もご紹介します。データは2017年産のものです。
1位:コガネセンガン(作付面積:7,893ha)
諸説ありますが、黄金色のイモがざくざくとれるという意味から名づけられたといわれているコガネセンガン。
芋焼酎などにも使われ、主にでんぷん用の品種ですが、食感もよく口当たりがいいことから生食用としても人気です。ホクホクとした食感を楽しめるので、焼き芋はもちろんのこと、天ぷらなどにもおすすめ。芋けんぴなどの加工品として使用されることもある、大活躍の品種です。
収穫量1位を誇る鹿児島県や宮崎県で一番多く栽培されています。
2位:ベニアズマ(作付面積:5,580ha)
皮が濃い赤紫色で、大きい物は700g以上にもなるベニアズマ。
粉質でホクホクとした食感が楽しめ、甘味が強いので生食用と加工食品用に使用されることが多いです。自然な甘さも魅力的ですが、甘さを活かしお菓子作りにも適した品種といえます。
ベニアズマは全国的に普及しているさつまいもですが、茨城県や千葉県などの関東地区で多く栽培されている品種です。
3位:べにはるか(作付面積:4,656ha)
べにはるかは、見た目や味がはるかに優れているという意味で名づけられた品種。
きめ細かく、甘味が強く上品なさつまいもなので、贈答用としても好まれています。皮の表面に蜜が出ているものは糖度が高い証拠。
スイートポテトやプリンなどのお菓子に使われることも多い品種です。
関東地方に多い品種ですが、全国的に栽培されており、茨城県では「紅優甘」「紅天使」、大分県では「甘太くん」といったブランド名がつけられている地域もあります。
4位:高系14号(作付面積:4,211ha)
高系14号は高知県で育成された品種。昔は全国的に作られていましたが、関東はベニアズマが主流となったため、現在は鹿児島県や宮崎県・徳島県・熊本県など西日本が中心となっています。
ホクホク感も感じられますが、ねっとり感も持ち合わせたバランスのいい品種です。定番の焼き芋もいいですが、ペースト状にして使うきんとんやスイートポテトにも向いています。
高系14号をベースにした新しい品種も多く開発されています。香川の「坂出金時」や宮崎県の「ことぶき」、千葉県の「愛娘」なども、高系14号がベースです。
5位:シロユタカ(作付面積:3,490ha)
シロユタカは白豊と書かれることもあります。その名のとおり、白い色が特徴のさつまいもです。
鹿児島県など、九州地方での生産が多い品種です。甘味が少ない品種のため、生食用には向かず、主にでんぷん用や焼酎用として使用されています。
まとめ
さつまいもは全国的に栽培されていますが、温暖な気候を好むので、九州地方や関東地方で多く作られています。
北海道や東北でも栽培されていますが、ほんのわずかです。
さつまいもは品種によって、食感や甘さが違います。食べたい、作りたい料理によって自分で種類を選ぶのも楽しいですよ。
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