初心者でも育てやすいさつまいも。幼いころに自宅や学校などで育てた経験のある人もいるのではないでしょうか。
「さつまいもの栽培に失敗した…」という話は、あまり聞かないですが、失敗の原因や対策を覚えておくと、よりおいしいさつまいもが収穫できます。
今回は、さつまいもの栽培が失敗してしまう原因や対処方法をくわしくご紹介します。
目次
1.さつまいもの栽培に失敗するよくある理由
1-1.寒い時期に植えてしまう
さつまいもは低温に弱い作物です。寒い時期に植えてしまうと、根が定着せず、生育が悪くなります。
さつまいもは平均気温が18℃、地温が15℃以上で、霜にあたる可能性がなくなるころに植えるのがベスト。よく育つ気温は25~30℃、地温が20℃程度といわれています。
地域によって差はありますが、5月中旬から6月上旬にかけて植え付けをするといいでしょう。
1-2.畑の排水性・通気性が悪い
さつまいもは乾燥や高温に強く、どんな場所でも育てやすい作物ですが、畑の排水性と通気性に気をつけなくてはなりません。
生育の阻害、病気を防ぐために、日当たりと水はけのいい畑作りをしましょう。
畝を作るときは30㎝程度になるようにし、土をよく耕して柔らかい状態にしてください。
1-3.土壌中の窒素が多すぎてつるぼけする
さつまいもは、土壌中の窒素が多いと「つるぼけ」を起こします。つるぼけとは、つるや葉だけが成長し、根に養分がいかない状態のことです。
さつまいもを育てるには窒素が少ない、痩せた土地が適しています。肥料の与えすぎには注意しましょう。
1-4.つる返しを行っていない
つる返しとは伸びたつるが広がって根を張ろうとしているのをはがしてあげる作業のことです。
これがなぜ必要かというと、上記でお伝えしたつるぼけという状態につながってきます。
つるが根を張って養分を摂ろうとすると、つるの部分はよく育ちますがさつまいもは育ちません。
なので、植えてから2か月くらいするとつるがよく育ってくるので、その時期からこまめに地面からはがしてあげることが大切です。
1-5.病気にかかってしまう
さつまいもは、黒斑病・立枯病・つる割病・基腐病などにかかる可能性があります。比較的、病気には強い作物ですが、排水性や通気性が悪いと起こりやすくなります。
農薬の散布や土壌の消毒、数年ごとに輪作、排水性や通気性に注意すれば、防ぐことができるでしょう。
1-6.害虫による被害を受ける
害虫にも強いさつまいもですが、イモを食べるハリガネムシやコガネムシ、葉を食べるハスモンヨトウなどの被害にあうこともあります。
病気のときと同じく、農薬の散布や土壌の消毒、数年ごとに輪作、排水性や通気性に気をつけるなどの対策を行いましょう。
1-7.収穫時期を間違えている
さつまいもの形が悪い、味がおいしくないという場合は、収穫時期が違うことも。さつまいもは、植え付けから120~140日程度が目安。そのため、10~11月中旬頃に収穫時期を迎えます。
一般的に、収穫が早いと味が落ち、遅いと形が悪くなります。
収穫は霜が降りる前に終わらせ、収穫後はすぐに食べずに2~3週間保存すると、おいしいさつまいもになりますよ。
2.もしかしてまだ間に合う?さつまいもの状態から見る生育状況
2-1.さつまいもの葉が黄色い
葉っぱが黄色くなってきた場合は立枯病(たちがれびょう)か栄養が足りていないのどちらかです。栄養が足りていないだけの場合はまだ間に合います!
さつまいもはあまり栄養のないところでも育つ品種なので、少しだけ栄養を追加する以下の作業、「追肥」をすることで失敗する危機を回避することができます。
①つるボケを防ぐために窒素分の少ない化成肥料を用意します。
②1株あたりに化成肥料を10gくらい苗の周りに撒いて用土となじませます。
③梅雨の時期くらいに2回くらい追肥をすれば大丈夫です!
しかし、与えすぎるとつるぼけになってしまうので注意が必要です。
2-2.さつまいもの葉の発育が悪い
葉っぱの成長が遅くなっていることはありませんか?
その場合はまず、上記の失敗する理由に当てはまらないかを確認します。
それでも当てはまらない場合は栄養不足が考えられます。
保肥力が弱いとされる砂質土やプランターや植木鉢で育てているとこういうことがよく起こります。
そういう場合も追肥を行いましょう!
3.もう手遅れの場合の見分け方
さつまいもを掘ったときに傷んでいたりとか真っ黒になっていたりする時はもう手の施しようがありません。
この原因として考えられるのはハリガネムシやコガネムシといった土壌に住んでいる害虫です。
こういった害虫がさつまいもを食べることによって病原菌がさつまいも内に入り込んでしまい食べれなくなってしまいます。
また、収穫したとき表面上キレイであっても熟成期間の間に菌が体内に入ってしまうこともあります。
こういった場合はもう廃棄するしかありません。
4.さつまいもの栽培で失敗しないための対策
さつまいもは育てやすい作物ですが、失敗しないためのコツを覚えておくことで、よりおいしいさつまいもが収穫できます。
おいしいさつまいもの育て方は、こちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
4-1.適切な時期に植え付けを行う
さつまいもは植え付けの時期を守ることが大切です。寒い時期に植えてしまうと失敗につながります。植え付けの時期は長いので、焦らなくてもOK。
地域によって差はありますが、どちらかというと早く植えるよりも、多少遅くなってしまったという方がリスクは少ないです。
4-2.肥料の適量を守る
さつまいもは、少ない肥料でも育つ作物。与えすぎるとつるぼけの原因になります。前作で肥料が多い場合は、元肥なしでもOKです。
さつまいも専用の肥料もあり、窒素が少なく作られているので活用してみるといいでしょう。
4-3.病気の対策をする
先ほどもご紹介のとおり、農薬の散布や土壌の消毒、数年ごとに輪作、排水性や通気性をよくするなど、病気対策をしっかりと行いましょう。
こまめに観察をし、病気を見つけたら、すぐに取り除くことも大切です。
4-4.害虫の対策をする
害虫対策は、病気対策をしていれば問題ありません。葉を食べる害虫には、防虫ネットも効果的。苗を植え付けた後に、防虫ネットを張れば、乾燥防止にも役立ちます。
イモを食べる害虫には、マルチシートを張り、土に卵を産ませないようにするといいでしょう。
3-5.収穫時期を守る
さつまいもは、植え付けから120~140日程度が目安のため、120日ほどしたら試しに掘ってみるといいでしょう。
しっかりと育っていることが確認できたら、1~2週間のうちに収穫します。
土が乾いた状態で収穫するのがベスト。天候を見ながら早めに収穫してくださいね。遅くなると形も悪くなりますが、筋張った硬いさつまいもになってしまうことも。
5.近年流行中の「基腐病」に要注意
5-1.基腐病の症状・原因
2018年に確認された基腐病。地面についている茎が黒くなり、葉が変色して紫色や黄色になり、徐々にしおれていきます。
さらに育ってくると、茎全体が黒くなり枯れてしまい、イモが腐敗する病気です。基腐病の原因は、土壌病原菌。伝染を起こしやすいため、大きな被害となります。
5-2.基腐病の予防方法
基腐病を予防するには、とにかく病原菌を畑に持ち込まないことが大切。
購入時には病気の苗を避け、栽培時は農薬の散布や水はけの改善を行いましょう。また、作の終わりに土壌の消毒をし、徹底的に予防をします。
発生した場合は、速やかに発病株を処分してください。残りかすも出さないように気をつけましょう。
まとめ
さつまいもは、乾燥や高温、そして病気や害虫にも強い作物ですが、もちろん放置してはいけません。植え付けの時期や肥料の与え方などを間違うと、失敗してしまうことがあります。
植え付けできる期間は長いので、焦らず判断しましょう。畑の排水性と通気性にも気をつけてくださいね。
また、肥料が少なくても育つさつまいもは、窒素が多すぎるとつるぼけを起こし、イモに影響するので注意しなくてはなりません。
ちょっとしたことに気をつければ、初心者でもおいしいさつまいもを収穫できるのでチャレンジしてみてくださいね。
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