さつまいもを切ったときに白い液体が出てきて驚いた経験がある人もいるのではないでしょうか?
ベタベタとしており、水で洗ってもなかなか取れないため「新しいさつまいもなのに食べられなくなってしまった?」と不安に思った人もいるでしょう。
白い液体の正体は、ヤラピンという物質です。
今回はさつまいもに含まれるヤラピンについて、どのような物質なのか、多く含まれていると味に影響するのかなどをくわしく解説します。
目次
1.さつまいもを切ったら出てくる白い液体「ヤラピン」とは?
さつまいもに含まれるヤラピンとは樹脂成分で、構造的には糖脂質の仲間。イモ類でヤラピンが含まれているのはさつまいもだけです。
ヤラピンはグリセロースにヤラピノール酸(オキシパルミチン)がエステル結合し、ラムノースやグルコース、ガラクトースと呼ばれる糖などが結合したもので、熱を加えても性質が変わらないという特徴があります。
ヤラピンは食べても問題ありません。さつまいもの食物繊維に付着し、腸のぜん動運動を促すため、排便をスムーズにするなどの整腸作用があるといわれています。
2.さつまいもの表面についた黒蜜のようなものは皮に付着したヤラピン
2-1.ヤラピンは黒く変色する
さつまいもの皮に黒い蜜のようなものが付着していることがありますが、実はこれもヤラピン。ヤラピンが空気中でポリフェノール(クロロゲン酸)と結びつき、黒く変色したものです。
収穫や運搬の際に傷をつけてしまうと、ヤラピンが染み出してしまい、黒い汚れになります。
見た目の品質が落ち、収穫器具や手、服などに付着すると取れにくいため、生産者は収穫時にできる限り傷がつかないように気をつけています。
2-2.黒蜜のようなものはさつまいもの甘さには関係ない
黒い汚れをベタベタしていることから「蜜」と考えられていることもありますが、上述の通りこの黒い汚れはヤラピンになります。
ヤラピンは甘みを持っている成分ではないため、この黒い密のような汚れはさつまいもの甘味とは関係がありません。
さつまいもの甘さはヤラピンではなく、生いもに含まれるショ糖と加熱した際に生成される麦芽糖で決まります。
3.甘くておいしいさつまいもを選ぶには?
ヤラピンは整腸作用がありますが、甘みとの関連性は根拠となるものがないといわれています。
甘くておいしいさつまいもが食べたいと思ったときは、まずは品種に注目しましょう。べにはるかや安納いもなどは、甘みが強くねっとりとした食感です。
見た目は、傷が少なく色艶がいいもの、太いひげ根がすくないもの、持ったときにずっしりと重みがあるものがいいとされています。
重みはあっても太すぎるさつまいもは、調理した際に火が通りにくく、甘みも少なくなりがちなため、150グラム前後のさつまいもがおすすめです。
まとめ
さつまいもに含まれるヤラピンは、整腸作用は期待できる成分ですが、甘さとは関係ありません。甘いさつまいもを選ぶコツは、黒い汚れがついているものではなく、最初に品種の確認をすることが大切です。
ヤラピンがついて黒くなっている場合は、そのまま調理すると食感が悪く、土臭さが残るため、しっかりと通り除いて調理してくださいね。
ぜひフォローをお願いします。